投げると肩が痛い、肘に違和感がある。野球を続けていると、多くの選手が一度は経験する悩みです。ただ、痛む場所をかばうだけでは、根本的な解決にはつながりにくいもの。なぜなら、肩や肘の痛みは「結果」であって、原因は別のところにあることが少なくないからです。投球障害と長く向き合ってきた立場から、予防の考え方を紹介します。
痛みが出るのは「結果」であることが多い
肩や肘に痛みが出ると、つい「その部分が弱いから」と考えてしまいます。しかし投球は全身を使う動作なので、どこか別の場所の動きが悪いと、そのしわ寄せが肩や肘に集中して負担になっている、というケースがよくあります。
たとえば股関節や胸郭(背骨まわり)の動きが硬いと、本来そこで生み出すはずの力や可動域を、肩や肘が肩代わりすることになります。痛む場所だけを見ていると、この本当の原因を見落としてしまいます。
運動連鎖 ― 全身のどこかのしわ寄せ
足首・股関節・体幹・胸郭・肩甲骨——投球ではこれらが連動して力を生み、ボールに伝えていきます。この「運動連鎖」のどこかに制限があると、ほかの部位が無理をしてバランスを取ろうとします。

だから予防の第一歩は、投げ方を細かく直すことよりも、全身のどこに動きの制限があるかを見つけることです。原因にアプローチしないまま投げ続けると、同じ痛みを繰り返しやすくなります。
投げすぎを「数値」で管理する
投球障害のもう一つの大きな要因が、単純な投げすぎ(オーバーユース)です。特に成長期は、本人が大丈夫だと感じていても、肩や肘には想像以上の負担が積み重なっていることがあります。
Mac's Trainer RoomではMotus(モータス)というセンサーで、投球時に肘へかかる負荷や投球数を計測できます。感覚に頼らず、疲労や負担のサインを数値で早めに捉えることが、ケガの予防につながります。
日頃のセルフチェックとケア
ジムでの取り組みだけでなく、日々の習慣も予防の大きな部分を占めます。難しいことではなく、続けやすい小さな習慣を積み重ねることが大切です。
- 投球前後に、肩・股関節・胸郭をしっかり動かす
- 痛みや違和感が出たら、我慢せず早めに相談する
- 投球数と登板間隔を、感覚だけでなく記録して管理する
- オフの時期に、可動域と筋力の土台を整えておく

痛みがあるときは、無理をしない
ここで強調しておきたいのは、すでに痛みがある場合は、まず整形外科などの医療機関で診てもらうことが大切だということです。Mac's Trainer Roomは医療機関ではないため、診断や治療は行いません。
そのうえで、医療機関と連携しながら、復帰に向けた身体づくりやフォームの見直しといった「トレーニングの面」からサポートしていきます。痛みを押して投げ続けることだけは、避けてほしいと考えています。
まとめ
野球肩・野球肘の予防は、痛む場所だけを見ていても進みません。全身の運動連鎖を整え、投げすぎを数値で管理し、日々のケアを習慣にすること。そして痛みが出たら無理をせず、医療機関に相談すること。こうした積み重ねが、長く野球を続けられる身体をつくっていきます。